CHI2007 四日目

圧力インタフェース


圧力センサーを使ってインタフェースを改善しようという試みが最近はやっている。今まではペンタブレットの圧力検知機能を使ったものが多かったが、今回のはマウスに圧力センサーをつけたもの。メニュー項目を指先の圧力変化で選択したり、という例を示していた。質問にたったBill Buxtonも指摘していたが、もう少し適切な圧力の利用例があるのではないか、という気がした。

ちなみに私のところでもPreSenseと呼ぶ圧力センシングのインプットデバイスをすでに2年前に実現しているのでよろしく!

力加減が分かるマウスなど新技術を多数展示――ソニーCSLオープンハウスより | 日経 xTECH(クロステック)

Social Impact Award Talk : Gregory Abowd

"Using Computing Technologies to Face the Challenges of Autism"


Gregory Abowd はGATechでユビキタス関係の数多くのプロジェクトを行っているが、今回の講演では自らの家族の自閉症の問題を契機に、aware home的なビデオサーベイランスのテクノロジーを使って子供の症状の早期発見につながらないか、というテーマを取り上げていた。大量のビデオを自動記録するところはライフログ風だが、自閉症という真剣なテーマを考えているのでとても迫力がある。当然やるべきことはまだまだ多いのだが、親の愛と研究者魂が渾然一体となっていて圧倒的だった。Gregoryのところはすばらしい学生も集結していて最高のチームという気がする。

Arduino


Arduinoはセンサーなどを含むシステムのハードウェアプロトタイピングが簡単にできるようなツールキット。Processingなどでプログラムできる。Phidget等との違いがよくわかっていないが、最近注目されているらしい。KAISTの教授に教えてもらったがKAISTのデザインコースでも教育に使っているとのこと。要チェック。

Arduino - Home

Closing Plenary - Nit Bhan

The Mobiles as a Post Industrial Platform for Socio-Economic Development


これは最悪のプレナリートークで、まず講演の前に延々とFlickrのスライドショーを流すという演出で、会場の雰囲気が一気に弛緩してしまう。みんな飽きて最後にはウェーブをやったりして真剣に話を聞く雰囲気がまったく失われてしまった。どういう意図だったのか。

Wrapup



という感じの四日間だったが、最近とみにテクノロジー的に「びっくり」というのが減ってきていて寂しい限りである。たぶんUIST, Ubicomp, Pervasive, ISWCなど、多くのhuman interaction系の学会が派生していきているので、そちらに人が流れていっているというのはある。昔はCHIで発表してSIGGRAPHのEmerging Technologyでもデモするようなタイプのシステムがいくつもあったが、今年はどうなのだろうか。またCHIはユーザビリティ評価をちゃんとしないと通らないという伝説があって(実際はそうでもないのだが)その辺もシステムよりの人が敬遠するようになってしまった一因かもしれない。

論文の競争率はきわめて高いので、面白い(あるいは面白くなる可能性を秘めた)論文は一杯投稿されてきているはず。それをうまくセレクトする仕掛けを考えていかないとだめだろう。alt.chiはそのひとつの試みなわけだが、立ち見が出るぐらいの盛況だった。alt.chiは今年からACM Digital Libraryに入るそうなので、それで本採録よりもサイテーションスコアの上回る論文がどんどん出てくると面白いことになるだろう。

CHI2008は...

来年は何とフィレンツェで開催とのこと。今回の最大の発見は "Florence" = "Firenze" と知ったこと。長らくフィレンツェ以外にフローレンスという市があると思っていたorz. スペルぜんぜん違うじゃないですか。何で英語ってこんな言い換えをするのだろうか。もう少しで「フィレンツェとは近いのですか」と聞くところだった。それはともかく殺風景なSan Joseから一気にFirenzeということで少なくとも開催地としては楽しめそうだ。


ダビンチに扮する Ben Shneiderman。

CHI2007関連の写真は

Flickrだとchi2007タグで多くアップロードされてるみたいです:

http://www.flickr.com/photos/tags/chi2007/