Ubicomp2007 一日目

Ubicompユビキタスコンピューティングに関する国際学会で今回が第9回目である。開催地はインスブルック

今回は紙による予稿集、CD-ROMのほかに論文・ビデオを収録したUSBメモリーが配布された:
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採択率

論文の採択率は150件の投稿で29件採録 (19%) で相変わらず競争率そのものは高い。

今回は、以下の三つのカテゴリのどれかを申告して投稿するスタイルをとっている。PCも3分割されていて、まずそれぞれのカテゴリごと論文を審査して、最終的に全体会議で採否を決定する。カテゴリごとの採択率は

Experience 11/47
Sensors 8/38
Systems 10/65

となっている。System論文が多い・通りにくいというのはメーリングリストでも議論になっていた。システムアーキテクチャミドルウェア)の論文はオリジナリティ・新規性を示すのが難しい→通りにくい→減少傾向、ということでそれ自体はいいと思うが、三つのカテゴリからこぼれてしまうような論文(たとえば長期的なビジョンを示すもの)はどうなるのか、Ubicompの将来性を自ら絞ってしまっているのではないか、などの疑問も残る。

Keynote

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キーノートは Ferrari Innovation Teamの Antonio Calvosa。期待して聞いていたが表面的な話に終始して肩透かしを喰った感じであった。予定した時間よりもかなり早く終了した。トークで一番もりあがったのはフェラーリの車体の写真が出たときだった...

Health Session

Ubicompの応用系では健康・スポーツに関するものが増えてきている。

A Statistical Reasoning System for Medication Prompting by Sengul Vurgun, Matthai Philipose

薬を飲むタイミングをコンテキストアウェアに教える。単に時刻でリマインドするのではなく、『家を離れるとき』のような状況をセンスする。

Towards Balanced Exercise Programs: Tracking Free-weight Exercises by Keng-hao Chang, Mike Chen, John Canny

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エクササイズ(ダンベル)の状況を認識する。グローブにつけた3軸加速度センサーでトレーニングの種別と、繰り返し回数を認識する。グローブの装着が面倒なのでダンベルそのものにセンサーを組み込んでしまったほうがいいのではと思ったが(という質問も出ていた)、手の動きがセンスできたほうが精度がいいということだった。


Playful Tray: Adopting Ubicomp and Persuasive Techniques into Play-based Occupational Therapy for Correcting Poor Eating Behaviors in Young Children by Jin-Ling Lo, Tung-yun Lin, Jen-hao Chen, Hsi-Chin Chou, Hao-hua Chu, Jane Yung-jen Hsu, Polly Huang
子供のセラピーにUbiCompを使ってゲーム風に演出する(食事の方法など)。同じグループから歯ブラシをセンシングして歯の磨き方を教えるデモが展示されていた。

Session: Networking

afeguarding Location Privacy in Wireless Ad-hoc Networks by Tanzima Hashem, Lars Kulik
位置情報のプライバシー保護。まわりにk人以下の人しかいない場合精度を落とすなど(自分だけが特定されてしまわないように)。

Haggle: Seamless Networking for Mobile Applications by Jing Su, James Scott, Pan Hui, Eben Upton, Meng How Lim, Christophe Diot, Jon Crowcroft, Ashvin Goel, Eyal de Lara
モバイルアプリケーションでデータを渡すとき、メールでやるのかファイルコピーなのか WifiなのかBluetoothなのか ad-hocなのか、いちいち考えたくないのでそれを解決する。相手を示すアドレスがリッチになっている。USBスティックで渡すのもメール送信などと同じ枠組み(Late Binding)でやる。

Exploiting Social Interactions in Mobile Systems by Andrew Miklas, Kiran Gollu, Stefan Saroiu, Krishna Gummadi, Eyal de Lara
Social Firewallという概念。

1-Minute Madness, Demo, Poster, Late Breaking

デモと同時にGoogle様による飲み物・食料が振舞われるので最後のほうはだいぶ酔っ払いながら見ていた。

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一分間の概略説明、1-minute madnessに並ぶ発表者。

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ピエゾ振動センサーで物体の振動をセンスして、Bluetoothで送信するモジュール。写真の例はマグカップに貼り付けてコーヒーを注いだときの振動をセンスしている。センサー側にDSPまで含んでいるので音響処理がローカルにできてしまうのが特徴。

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ドットマークがついた観光マップを携帯電話のカメラで認識してガイダンスを聞く。結構ロバストに認識していた。

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GUIとタンジブルを組み合わせた。なぜ組み合わせたいのか、組み合わせると何が嬉しいのかは聞いてはいけないのだろう...

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Anotoペンの手書きストロークと、プッシュピンコンピューティングを組み合わせて、紙に手書きでWidgetを描いて、フィジカルなボタンやスライダーを取り付けると、即席のインタフェースになる。

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Deja-Vuの塊のようなARシステム。

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Particle Filterで屋内位置認識。

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点滅する赤外線LEDでID認識。

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歯磨きを教えてくれる歯ブラシ。ディスプレイに歯の絵が出てきて磨けたところの表示が変わる。実際は単に歯ブラシの方向をカメラで認識しているだけみたい。