PLACE+の背景
「PLACE+ 新世代ロケーションアウェア技術とサービスに関するワークショップ」
というのを先月24日に国立情報学研究所で開催した。これは最近のWiFi系位置認識技術やWebマッシュアップ系の人が出合って議論する場を作りましょうという意図で名古屋大の河口助教授と私が企画した単発ものワークショップだった。参加公募して約一日で定員オーバーしてしまったりといろいろハプニングはあったが、ワークショップ自体は非常に盛況で議論も活発だった。
会議の内容じたいについては美崎薫さんが非常によくまとまったレポートをMYCOMジャーナルに書かれてるのでぜひご覧下さい。私自身は位置からライフロギングへ、という流れを主張したかったが、その辺も美崎さんの琴線に触れたのか、非常に的確に分析しています。:
PlaceEngineは「位置情報2.0」 - 位置情報とLifelogの可能性
フォークソノミー、マッシュアップ…研究とビジネスのコラボ始まるか? - PLACE+
また、情報デザインの分野で活躍されている渡辺保史さんのブログ 位置情報マッシュアップが可能にするもの でも言及がある(今回かなり強引にトークのほうもお願いしてしまいました)。
で、こういったワークショップを企画したのはいくつかの思いがあった。当然、すでにモバイル関係とかユーザインタフェース関係ではいくつも学会や研究会があって、きちんとスケジュールを立てて投稿論文をプログラム委員会で査読して採録して....というスタイルが確立している。が、そういう(ある意味)古典的学会スタイルだと零れ落ちてしまう面白い動きというが一杯あるんじゃないかと常々感じていた、というのが一つ。
もう一つは、たいていの学会は定期的(年1回とか)に開催する関係上か、次第に参加する人脈が固定していってしまう傾向が否めないということ。そして段々親睦会的になっていく。それも一つの価値かもしれないが、知らない人と出合ったり知的刺激を得たり、という目的とは微妙にずれていく。そもそもどんな学会でもたいてい「第一回」は非常に面白くて、だけど回数を重ねていくことでどうしても惰性が出てきてしまう。ならば「第一回」のみをいろいろやるというのは出来ないのだろうか。
とうことで、テーマを絞って、アドホックに、参加するコミュニティは出来るだけ広く、という単発もののワークショップをそれぞれゲリラ的に企画・開催しちゃう、という方向はどうだろうと思ったのが動機でした。
Web2.0風な比較をすると、
定期的 → 単発 テーマ範囲広い → テーマを絞る 大規模なプログラム委員会 → 少人数オーガナイザー(今回は2名) 査読・論文・締め切り → オーガナイザーの眼力 想定参加者固定 → 想定参加者不定 準備期間長い → 準備期間短い(今回は1ヶ月) 予稿集は印刷が基本 → 予稿なし・オンラインのみ 組織が主催 → 個で主宰
みたいな対比できるかもしれない。雑誌でいうところの「***責任編集」というスタンスに近いかも。
で、次は?今回の議論ではPLACE関連でもう一回ぐらい(今度は人選をぐっと変えて)やりたいという話が出ていたのでたぶん PLACE+2 はあるのではないかと(ただしPLACE+3,+4と行くかどうかは未知数だし、無理にそうする必要はもちろんない)。一方、違ったテーマでもこの方式が行くかどうか興味がある。 MEMORY+ とか SENSOR+ とか BRAIN+ とか...