Organic User Interfaces
Communications of the ACM のOrganic User Interfaces特集号が出た(上のアイコンをクリックするとACM Digital Libraryに行きます)。私も"Organic Interaction Technologies: From Stone to Skin" という論文を書いている。
OUIの定義は未だに曖昧だが、(たとえば特集エディターのRoel Vertegaalは「形が変化するデバイスやディスプレイ」に非常に思い入れがあって、それをOUIと呼びたいらしい)
私自身は、形の変化もそうだが、生物と生物のコミュニケーションにより近いインタラクションスタイルをOrganicと呼びたい。形が変わるディスプレイだけだと、それはtangibleの範疇だと思うので。
インタフェースの進化を、StoneとSkinという対比で考えている。
Stone(石)は道具を象徴している概念で、人類は石器時代(Stone age)以降、延々と「道具によるインタラクション」の文明を築いてきた。道具は鋭利であり硬く、人間よりも過酷な環境である現実世界を切り開いていくのに適した概念だった。マウスが石器に似ているのは偶然ではない。そういう意味ではtangible interfaceで象徴的なphicon (phyical icon 掴めるアイコン)もstoneである。
一方、最近製品化が進むマルチタッチなどのインタラクションは、指先によるより直接的な操作を目指している。それは人間どうしが握手をするような、「道具」を介さない柔らかなインタラクションの方向性である。我々が握手をする、その一瞬のインタラクションで交わされる情報量には驚くべきものがある。ということでメタファーは石ではなく「皮膚/肌」(skin)になると考える。フィリップスデザインが展開しているSKINというプロジェクトとも通じる考え方だと思う。
文明の進展はskin→stoneだったが、インタラクションのテクノロジーが究極に発展すると、stoneからskinに戻ってくる、つまりより根源的でありかつ自然なインタラクションが可能になる、というのが私が考えるorganic user interfaceである。
といったあたりを、昔SmartSkinというシステムを作ったあたりから何となく考え始めていた。今回の特集でだいぶ考えがまとまってきた気がする。