一票の格差を原理的になくす方法

(憲法改正しなければならないので実現性は低いかもしれないが、思考実験として。すでにこういう提案はあるのだろうか。)

日本は国政選挙における一票の格差が大きい国である。
一票の格差 - Wikipedia
各選挙区の人口配分は常に変化しているが、それに合わせて動的にかつ迅速に選挙区や議席数を変えていくのは簡単ではない。県や市などの行政区分を無視して選挙区を変化させることも難しいので、人口変化に適応して議員数を配分するようにしたとしても限界がある。しかし、何もしないで、*1たとえば参議院で5倍もの格差がある状態で放置するのはあきらかに異常である。

そこで、選挙区を変化させるのではなく、議席を1ではなく重みつき係数だとするのはどうか。つまり各議員は一票ではなく、0.7議席とか1.6議席のように、選挙区の有権者数(あるいは人口)に比例した重みの票を持つとする。獲得した投票数に比例、という考え方もあるかも知れない*2が一応winner takes allだとしておく。そうした場合、議員の定数は従来通りで選挙区をいじる必要もなく、ただ定足数や議決での票のカウントには各議員が持つ重み値を合計する。それで困ることはないような気がするがどうだろうか。

全議員の重み合計値が現議席総数と同じになるようにしておけば、たとえば会派を構成する最小人数、なども重み値の合計として機械的に読み替えることができる。だから現行法の修正も最小限で済む。有権者の数は投票用紙の発行によって正確にカウントされているので、選挙ごとに最新の重み係数を計算することは容易でありコストもかからない。

この方式が実現できたとすると、都市部の議員が相対的に高い重みを持つようになるだろう。たとえば鳥取県選出の議員4人分より東京都選出の議員一人分の票の価値が高い、ということになるかもしれない。それがいいかわるいかは判断を控えるが、現状の、逆方向にバイアスがかかった状況が解消されたにすぎず、少なくとも法の元の平等という観点からは望ましいと言える。

一方、0.25議席であっても一人の政治家なので官僚への影響力などで1.0議席の議員を凌駕する場合もあるだろう。なので全議席の重みが1.0に近づくように選挙区を人口比に適合させる必要がなくなったわけではない。が、現状よりは自動的かつ強制的に票の格差が消え、複雑・恣意的な調整も不要という点で優れていないだろうか。一票の格差を重み値の差として常に国民に明示できるのもメリットかもしれない。

*1:正確にはN増N減などのミクロな対処だけで

*2:投票数配分方式だと投票率を上げるインセンティブになるかも知れない