e-Taxスゴイ

前提条件として、e-Taxを使うには住基カードが必要である。それは区役所に行かないと発行してもらえない。だから普通は「区役所行くぐらいなら税務署に行く」で終わりなのだが....まあ怖いもの見たさ半分、実際に使いもしないで使いにくいとは言えないかと思ってチャレンジしてみた。

  • 住基カードを作ったときに区役所でCD-ROMももらう。念のためWebで確認すると「CD-ROMに入っているソフトにはインストールしてはならないものがある」と書いてあった。(バージョンが古いのを入れると大変なことになるらしい)。
  • e-Taxのホームページを見ると「e-Taxソフトをダウンロード」と書いてあるが、そこから辿れるページには「専用ソフトを使用しなくても電子申告できます」と書いてある。
  • はやくも不安を感じつつも、まずカードリーダのソフトをインストール。
  • それ以外に公的個人認証サービスというソフトをインストールする必要があるがこれがJavaなのでJavaも最新版にアップデートした。
  • 次に利用者開始通知という作業が必要なのだが、そのなかで自分の名前を「半角カナ」で入れさせられた。ひさしぶりにみたぞ自分の名前の半角カナ。
  • さらにそこでは小さな「ァィゥェォ」は使えない。使うと「使用できない文字が含まれてます」エラーになる。そうとは気づかず全角カタカナが混ざってるのかと何度もリトライ。
  • ちなみにこの利用者開始通知ソフトはなぜかPDFのフォームとして構成されている。PDFで記述すると何のメリットがあるんだろう。
  • 利用者識別番号という16桁の番号をもらうのだがそれを場面場面で16桁まとめて入力したり4桁ごとに分けていれたりさせられる。
  • 住基カードそのものの暗証番号・電子証明の暗証番号・電子申告の暗証番号の3種類がある。その他「利用者識別番号」と「利用者確認番号」がある。
  • 「暗証番号」が本当に数字だけな場合と実際には「パスワード」の意味で使っている場合がある。
  • で暗証番号を三回入れ間違えるとカードそのものが使えなくなるそうだ。
  • いろんなところで何度も何度も何度も住所氏名を入力させられるがそもそもその情報が入っているのが住基カードなのではないのか。
  • Webで確定申告を作成してそれを送付するときにもJavaアプレットなのでJREを更新した。何でこんなにjava好きなのか。




(jpki.go.jpより。この汗はどういう意味だろう)

  • Javaのバージョンが変わるたびに「公的個人認証サービスのJava環境への登録」という操作が必要だった。というか必要であることがわかるまでが大変だった。これが何を意味しているのかいまだになぞ。
  • ドキュメント類の文章が微妙に頭悪くて疲れる。「質問疑問に対するQ&A」とか。「疑問に対するQ」って何だろ。
  • IEでもエラーコードが出て通信できなかった。かなり涙目。
  • エラーコードに該当する説明を見ても「ソフトの設定を確認してください」以上の情報が得られない。
  • 途中「もうプリントアウトして税務署に持っていこう」と何度もくじけそうになった。
  • 「人柱」という言葉が脳裏をよぎる。
  • 原因はわからないがいろいろやってると突然カードを認識して通信もできるようになった。
  • 何とか送付できたが来年同じことができるか自信はない。

以上。長い旅だった。沿道の声援がなければ途中であきらめていたでしょう。はじめて自分で自分を褒めてあげたいと思いました。

結論からいうとiPhoneJailbreakのほうがはるかに簡単です。

現実的には、魔境に入りたい人以外はWeb上で申告書を作成してプリントアウト、が一番効率いいです。e-Taxでやる場合でも「e-Taxソフト」は必要なく、Web上作成した申告書で電子申請可能です。

e-Taxを使うと5000円還付金があるのですが、住基カード発行に500円、電子証明書発行に500円、カードリーダーに3000円近くかかります。e-Taxで申告した人100人に一人は所得税チャラとかだったらいいんですが。

Webで申告書を作ること自体はそんなに面倒ではないので、ほとんどの問題は電子証明関係です。そもそも確定申告書は普通郵便でも送っていいぐらいのものなのでそれに見合ったセキュリティレベルで十分だと思うのですが。

http://www.jpki.go.jp/faq/index.html

を見ているとこのソフトに悩まされている多数の人たちの姿が垣間見えてきてうすら寒くなる。これを普通の国民に使ってもらおうとしているのだろうか。

普通の国民がJREのバージョンまで気にしつつ申告しなければならないのか。

念のため申し添えておきますが私は電子政府には賛成ですし、あらゆる行政サービスや手続きが自宅からオンラインでできるようになってほしいと考えています。住基ネットにも基本的に賛成です。であるからこそユーザビリティに対する配慮ゼロのシステムは看過しがたいわけです。

そもそも疑問なのは、なんでこんな厳重な本人確認が必要なのかということだ。他人になりすまして税金を払う人なんているのだろうか?http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/f4f0369cb15630ef66640b2a33cb1529

申告ソフトは「お客様」が使いやすいものにしなければならない。納税者はお客様だという発想が必要だ。(利用者は)使いにくいから間違えてしまい、申告後に確認を取る手間がかかってしまう。ユーザー本位の思想により40%の利用率を実現--カナダ・ケベック州 | 日経 xTECH(クロステック)

ケベック州の事例。PKIは使わずにパスワードだけでよい。印刷して紙で申告する人も2次元バーコードを同時にプリントして電子化される。利用率4割は立派だと思う。まっとうな設計だとちゃんとユーザもついてくる。)

e-Taxに関する国税庁よりはるかにわかりやすいガイド: Ring

追記

電子申告してから、寄付金があったことを思い出して修正しようと思ったら...
「他の入力もすべてクリアされます。よろしいですか」
と聞いてきた。つまり他の部分も最初から入力しなおしになる。そんなのよろしい人なんかいるのだろうか。